シングルバックハンドではダメなのか!?
男子シングルでは、案の定トップ4シードがベスト4に残り、素晴らしい準決勝の試合を見せてくれました。
巷では、錦織の話題で持ちきりですが、テニスのことではマニアックな当ブログではちょっと話題を変えて、テニスにおけるシングルバックハンドについて考察していくことにしましょう。
良い試合でしたが、やっぱりいつものとおりナダルのディフェンス力に対し、フェデラーが無理をしてミスって負けるというパターンでしたが、やはりバックハンドでなかなか攻められないところに対ナダル戦の分の悪さがあるのではないか!?と思っているわけです。
フォアハンドについては、ナダルと互角あるいはフェデラーのフォアが勝っているところもあると思うのですが、バックにボールを集められるとなかなか攻めに転じられない・・・・といったケースが目立ちます。
昨年ナダルに6連勝、№1をもぎ取ったジョコビッチを見ていますと、対ナダル戦は、フォアもバックも高い打点でクロスへ、ストレートへ打ち分けてナダルを動かし、返球が浅くなったところで決め球を打ち込む、といった戦法をとっています。
対ナダルでは、ランキングの低い選手は彼のバックサイドへボールを集めようとしていますが、あえてフォアサイドへ攻めのボールを打ち込んでいかないと活路を見いだせない!!それをしっかり行えていたのは昨年のジョコビッチであったわけです。
さて、ナダルのフォアハンド側へ右利きの選手がバックハンドで攻めのボールを打ち込む際は、バックハンドのクロスを打つわけですが、両手打ちの選手であれば、ある程度高い打点で打ちこめます。ジョコビッチはこの高い打点からスピードがあって精度の良いフラット気味のボールを打つことができるのですが、フェデラーはシングルバックなので、なかなか高い打点から打ち込むというショットが打てません。
この差が、対ナダル戦の勝敗の差になっているような気がします。
バックハンドで攻められる展開を持っていれば、攻撃の幅が出来ます、フォアハンドの攻めももっと楽にできるのだと思いますが、バックハンドで攻められないとフォアに頼って、より厳しいところへボールをコントロールしないとポイント出来ない・・・・という流れになり、その厳しさがそのままミスの多さに繋がっているように思います。
ただ、シングルバックハンドの高い打点でフラット気味に打ち込むって、実に難しいことなんです。
筋力、タイミング、ラケットの動かし方、面の作り方、どれもが高いレベルで実現できないと良いショットに繋がりません。
私がこれまで見てきた中で、高い打点からシングルバックで打ち込むのが上手かった選手は、ベッカーとクエルテン、レンドルもそうですね。後はエドベリも上手かったかな。
フェデラーのバックハンドは、フラット気味に打ち込むというより、スピンで弾ませて相手を走らせる、といったショットなので、コートカバーリングの良いナダルには追い付かれて逆襲されてしまうのですね。
まあそれでも、最近のフェデラーは努力してバックハンドを高い打点からフラット気味に打ち込むショットを見せていますが、まだ効果的に使えているレベルには至っていないようです。
ほとんどの男子選手が、両手打ちのバックで、フォアもバックもトップスピンでシコリ+αくらいのペースでストローク戦を行い、ちょっと攻勢をとれたらスピン系のショットで打ち込む・・・・というプレースタイル。ほとんどの選手がこういった戦い方をしていますので、なんだかどの試合を見ていても展開が同じ・・・・って感じなんです。
このレベルの選手たちはジュニアの時代からこういったスタイルで教えられているのだろうから、仕方のないことなのかもしれませんが、個性が無く、見ている側としてはなんともツマラナイ選手に見えてしまったことが残念でした。
でも三菱電機のチームで出場していた杉田祐一は、同じスタイルではありますが、さすがのプレーでしたし、イカイのチームでは珍しいダブルスペアを見ることができました。
イカイチームには、鈴木貴男が在籍していたのですが(数少ないシングルバックのプレーヤー)、そのチームに本村剛一が加入し、この二人がペアでダブルスに出場したのです!!
二人合わせて全日本選手権シングルス7回優勝といった実力者のペアが見られたのは、一つの収穫でしたね。二人ともシングルスのランクは落ちましたが、まだまだ実力者、相手チームを圧倒しておりました。特に鈴木のボレーは芸術品のようでしたし、本村のストロークは切れ味抜群!!で、見ていてとても楽しかったですね。
そうそう、この日は石井弥起も出場していたので、くしくも全日本選手権シングルス優勝者が4人も集まったのですね!!入場無料の大会なので、この点は得した気分でした。
さて、シングルバックハンドですが、今や世界ランクトップ10の中では、フェデラーと現在10位のアルマグロのみ・・・・。トップ20で見ても18位のガスケと19位のロペスが加わるだけと寂しい状況です。このシングルバックハンドプレーヤーの中で綺麗なスライスも打てたり、積極的にネットに出る戦法をとるのは、フェデラーくらい・・・・。
シングルバックハンドはやっぱり衰退の一途をたどってしまうのでしょうか!?
やはり私としては、サンプラス、エドベリのようなサーブ&ボレーヤーだがストロークも上手いシングルバックハンドプレーヤーが出てくることを期待して止みません。
最後に・・・・・
まだまだ荒削りですが、綺麗なシングルバックハンドを打ちますし、スケールの大きなテニスを期待できるプレーヤーです。
現在21歳、ランクは70~80位前後ですが、実力がついてきたら面白い存在だと思いますよ。
シングルバックが好きな私としては、頑張ってほしい選手です。
by Tristan987
| 2012-01-28 09:43
| テニス